令和5年6月8日
長野県信州そば協同組合
理事長 柄木田 豊
長野県信州そば協同組合 新開発品
電子レンジで短時間調理可能な干しそばの開発
1.はじめに
干しそば生産量が国内一の長野県において、干しそばメーカー16社で構成されているのが長野県信州そば協同組合です。組合では64回にも及ぶ品評会の開催等を通じて信州そばの品質向上を図り、業界の発展に資するとともに、国民の食生活向上に寄与することを目的としています。残念ながら干しそばの国内需要は頭打ちになっており、新たな需要開拓が急務となっていました。そこで美味しさだけでなく機能性成分に富み、GI値の上昇を防ぐそばを海外に向けて販売していくことを目指しました。しかし干しそばの海外展開については様々な問題があり、現実には進んでいないのが現状でした。大きな障害の一つが、調理方法の複雑さでした。干しそばを食すためには大きな鍋にお湯を沸かし、茹での程度を確認しながら時間調整をしなければなりませんでした。噴きこぼれもあり、茹で上がるまで気が抜けませんでした。これでは海外の皆様に気軽に調理していただくことはできません。
2.開発経過と成果
そこで組合は農水省の輸出計画認定を受けた上で、令和3年度補正加工食品産地確立緊急対策事業予算を獲得し、調理方法の簡便化と開発品の海外展開を目指すこととしました。そのキーになったのが、2年前に長野県の補助金を活用して開発したレンジで簡易に調理可能な「レンジそば(仮称)」でした。まだ大規模製造はしていませんでしたので、まず、その製造方法を確立しました。完成したレンジそば(仮称)については理事会で協議し、海外展開を目指すため、あえて信州そばと名乗らず、冬季オリンピック開催地である「NAGANO」のそばであることから「NAGANO SOBA」と命名しました。また、「NAGANO SOBA」の訴求効果を高めるため、長野県工業技術総合センターと共同開発体制を構築し、賞味期限、栄養・機能成分の評価、そして調理用容器の選定を行いました。さらに、風味などにおけるエビデンスを確立するため、風味評価の専門企業(株式会社味香り戦略研究所)と連携し、風味における優位性の確立ならびに風味データを活用した食べ方の提案、冊子などのPR素材の制作およびSNSを駆使した宣伝を行いました。
海外展開のターゲットとしては、オーストラリアを選定しました。輸出実績はありませんが、長野県には多くのオーストラリア人が極上のパウダースノーを求めて訪れます。彼らの多くはスキー場で「そば」を食べる機会がありますが、母国での需要喚起には至っていません。そこで、オーストラリア現地のディストリビューターであるTryber社と委託契約を締結し、オーストラリアでの流通を確保するためのPRや試食イベント(3回)を実施しました。そしてオーストラリアでの規制や表示方法などを調査した上で、包装デザインを決定し、パッケージを制作しました。一方、国内では、まるまる東日本連携センターなどにおいて在日オーストラリア人を含めてNAGANO SOBAの試食アンケート調査を実施し、本製品の販売についての課題把握に努めました。そして、本事業の仕上げとして、東京ビッグサイトで令和5年3月7日から10日まで開催されたFOODEXに出展し、NAGANO SOBAの試食を含むPR(ブース来訪者約600名、名刺交換150枚)および海外および国内バイヤーとの商談(事前アポイント制5社、ブース来訪者30社)を実施しました。


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長野県信州そば協同組合(長野県食品工業協会内)事務局:蟻川幸彦
TEL:026-229-6775, FAX026-229-6774
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