迷走台風10号の襲来が判明し難い中での坐禅会でした。
ご提唱に先立ち、久恒さんの「最近、数息観でひとーつーと言っているとひとーつーを忘れてしまう」というような不安・疑念に対し、桐山老師から「忘れることが真実である。呼吸や息を忘れることは、執着心(捉われ)から離れるチャンスでもある。忘れたら忘れたでよいから、自分の呼吸を続けて下さい」と他の会員にとっても励ましになる回答を頂きました。
本題は、11月の正受庵坐禅会で予定されている提唱題「西欧の科学文明を本物にする禅」に向けて、これまでお話しされた項目(量子論・AI・言葉等)ごとの復習・確認でした。具体的には、量子論でのアインシュタイン(相対性理論)とニールスボーア(相補性の理論)との論争では、粒子は矛盾する二つの性質(粒子性と波動性)をもつが、東洋思想(禅・一元論)に注目したボーアは「相反する異なった物事をそのままにして置くことができたので、そっくりそのまま物事の真相を捉えることができたのですと。また、驚異的なスピードで進化するAIは、我々にメリットや希望(確度の高い天気予報・自動運転等)も与える一方でデメリット(虚偽情報の作成・拡散等)もある。現時点では驚異的な速さで広がるAIの進化に不安も恐れもあるが、人間とAIとの適正な学び合いや使い方の進化によって、人間とAIが共生する未来への道が開かれるのではないかと思われる、と結ばれた。
禅は相反する二つの事柄を対立ではなく、そのまま統合的に捉えることができるからである。「西欧の科学文明を本物にする禅」(苧坂光龍老師)の言葉や、量子論の矛盾を東洋思想に触発された「相補性の原理」(ボーア)で解消した事実に学び、我々も行学を継続していきたい。桐山老師は参加者に問いつつご提唱をされるので、提唱自体が白熱した議論の場ともなるという新スタイルです。 |