桃の節句の日でした。ご提唱は、般若心経の「無眼耳鼻舌身意」はいつも読誦しているが、これを各自の言葉で言うとどうなるか、というところから始まりました。無眼・無耳・無鼻・・・となる心経で、例えば風がふいて「ヒューヒュー」と音がしている状況を想定します。ヒューヒューという音はしますが、これを自分の意志で聞くのではなく、「聞くままに また心なき 身にしあれば 己なりけり 軒の玉水」の道歌のように無心で受け止めることが、般若心経が示している事です。苧坂光龍老師は「聞きつぶれる・そのものに成り切る」と言われ、岡田利次郎先生は「聞こうとして聞かない・ただ聞こえている」 と仰いました。知識・概念ではなく、経験として捉えることの重要さや深さを説かれました。
次に、桐山老師が発行予定の著書の原稿を、事務局が整理した文案で検討しました。老師からは「欧米の科学文明を本物にする禅の力とは何か」ということを明らかにする事や、科学文明は二元論であり、これを本物にするためには禅や唯識の一元論の力が不可欠であるという、是正の方向を示して頂きました。
会員からは、素粒子の二面性や観測問題などの意見、数学的概念的なことはできるだけ簡略にしたほうが良い、「はじめに」の言葉が大変良く分かるので良い等の意見が出されました。量子論はよく分からないという人には、相補性の原理のところを読むようにというご指導がありました。また、鈴木大拙の「機心」の資料が配布されましたが、時間の都合で取り扱えず、次回にお話し頂く事になりました。言葉を聞いて理解し伝えることの難しさを思い知らされました。
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