比較的温かな小雨の日でした。ご提唱は、出版を予定されている著書内容(世界に開かれる禅・量子論と禅など)が中心でしたが、この著書の狙いや構想にも、会員の禅に対する意識を向上させたいという桐山老師の思いが溢れていました。
禅を修する狙いの核心は、自分一人の救済で満足するのではなく、他者の救済を願って言動すること、つまり菩薩道を実践することです。しかし、自分だけの救済や、また自分が悟ってからしかる後に他を救うという自己中心の生き方になり、悟りとは程遠いものになってしまいがちです。
こうした状況から少しでも抜け出して欲しいとの思いから、桐山老師は「自未得度先度他の心を発すべし(道元)」や「一切合切同時同成(釈尊)」の教えを再度説きつつ、出版を予定している著書を、会員の協働責任で行いたいと提案されました。
この著書は、前著「禅を生きる」を踏まえ、かつ昨今の世界の危機的状況(戦乱や虐殺の惨状、温暖化や難民の増加等)から、「すべての生命に、苦しみを乗り越えることができますように(慈悲の瞑想=スマナサーラ)」や、「西洋の科学文明を本物にする禅の力(光龍老師)」などの展望も念頭においています。
更に最先端科学としての量子論を取り上げ、ニールス・ボーアの「相補性の原理」を元にした生き方は、仏教の菩薩道ではないかとか、また佐久間象山の思想である西洋芸術(科学)と東洋道徳(朱子や禅思想)の全面的融合に向けての大きな可能性についても言及されました。この構想を盛り込んだ原稿を、皆で読み合わせたり、所感や希望(易しくかつ誰が読んでも堪えるように書く)等を述べたりして、自らの菩薩道への一歩を踏み出そうとしました。 |