<<令和6年1月21日 定例禅会>> 参加者:5名 会場:円成寺

 比較的温かな小雨の日でした。ご提唱は、出版を予定されている著書内容(世界に開かれる禅・量子論と禅など)が中心でしたが、この著書の狙いや構想にも、会員の禅に対する意識を向上させたいという桐山老師の思いが溢れていました。
 禅を修する狙いの核心は、自分一人の救済で満足するのではなく、他者の救済を願って言動すること、つまり菩薩道を実践することです。しかし、自分だけの救済や、また自分が悟ってからしかる後に他を救うという自己中心の生き方になり、悟りとは程遠いものになってしまいがちです。
 こうした状況から少しでも抜け出して欲しいとの思いから、桐山老師は「自未得度先度他の心を発すべし(道元)」や「一切合切同時同成(釈尊)」の教えを再度説きつつ、出版を予定している著書を、会員の協働責任で行いたいと提案されました。
 この著書は、前著「禅を生きる」を踏まえ、かつ昨今の世界の危機的状況(戦乱や虐殺の惨状、温暖化や難民の増加等)から、「すべての生命に、苦しみを乗り越えることができますように(慈悲の瞑想=スマナサーラ)」や、「西洋の科学文明を本物にする禅の力(光龍老師)」などの展望も念頭においています。
 更に最先端科学としての量子論を取り上げ、ニールス・ボーアの「相補性の原理」を元にした生き方は、仏教の菩薩道ではないかとか、また佐久間象山の思想である西洋芸術(科学)と東洋道徳(朱子や禅思想)の全面的融合に向けての大きな可能性についても言及されました。この構想を盛り込んだ原稿を、皆で読み合わせたり、所感や希望(易しくかつ誰が読んでも堪えるように書く)等を述べたりして、自らの菩薩道への一歩を踏み出そうとしました。



<<令和6年2月4日 定例禅会>> 参加者:6名 会場:サンライフ長野

 やや寒い立春の日でした。ご提唱に先立ち、能登震災の惨状の中で静かに耐えている方々の姿に、桐山老師から「災害という現実を受け止め乗り越えている人たち、これは悟りであると、良寛の「災害の時は災害に遭うが宜しく候」の言葉を重ねたお話がありました。ものごとをちゃんと受け止める事(悟り)とはどういう事なのか、を示して頂きました。
 本題は、出版予定の著作に関わるものでした。桐山老師は、会員の意見を汲んで再考した新目次案を示されました。田中政男さんからは、量子論の矛盾である「観測問題」に関係して、量子生物学からの新しい視点による見解とその資料が提示されました。量子生物学の原理によって量子論の不確定状態を脱することができるのではないかということです。さらに意識が全存在の根源であることなどが論述されていますが、これは仏教の唯識のことであると桐山老師が指摘され唯識へのさらなる理解を要請されました。
 また、物理学者たちは量子論(西欧科学)での行き詰まりを、東洋思想(仏教・龍樹・老子・陰陽思想等)からヒントを得て打開しようとしてきたことなどを示した上で、これらは禅からみれば禅思想の一部(千差路有りの一路)であるかも知れないと私見を添えられました。
 また、ニールス・ボーアが中心になって、量子論研究者達との議論によって到達した「相補性の原理」を禅の視点からとらえ、二元論(科学)から一元論(禅)へのアプローチの仕方を探ることは、光龍老師の西欧の科学文明を本物にする禅を我々自身が捉えることに繋がるのではないかということです。これらの意見や議論を通して、著作の意義・構想や各自の考え方が一段と明瞭になったように思います。なお、近代合理主義の限界に関係しているAIについては、中村真二さんに資料を用意してもらいましたが、時間の関係で次回に陳述して頂くことになりました。



<<令和6年2月17日 定例禅会>> 参加者:6名 会場:円成寺

 本堂前の紅梅が咲き始めていました。ご提唱は、最近の話題からお話が始まりました。
 小澤征爾指揮者の死去に関しては、音楽が体全身から溢れ出ていて、音楽は禅そのものであることを体現していた方であること、会員の斉藤さんが新聞投稿したフードロスの記事に関しては、食べ物を粗末にする国は亡びる、物を大事にしないのは人間として致命傷であること、お孫さんの大学受験に関しては、「どうせだめだと思うけど受ける」という気持ちを払拭させ、全力で打ち込むように鼓舞・激励したことも功奏してか、見事合格になったことなどが語られました。
 いずれも、全力で打ち込んで成り切る禅の生き方の大切さを示す内容でした。
 本題は出版予定の本のことでした。桐山老師から会員の意見も採り入れ再考された目次や本文を示され、再度意見を求められました。会員からは、「誰が読むのか」・「どのような内容や配置にすれば、読んでもらえるのか」と言った協働作業を担う立場から基本的な意見が出されました。桐山老師からは、前著「禅を生きる」〜自覚への道〜を踏まえつつも、更に読者の対象を広げ科学に興味のある人にも読んで欲しい、そのために最先端科学としての量子論の魅力・本質・課題も含めて論じたい、との構想が語られました。
 終盤、AIの現状について中村さんからお話して頂き、質疑応答もありました。本日全般のやり取りは、さながら激論を交わす編集会議のようでした。本の原稿を書く時間がとれない桐山老師に代わって、事務局でそれぞれの意見を汲んだ原案を作成し、次回以降に皆で検討することになりました。



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