10月に入り、暑さがようやく落ち着いてきました。ご提唱は、不二道場の現状や「ありがとう地蔵堂」での先祖供養の報告から始まりました。供養では桐山老師の息子さんのバイオリン演奏も行われ、物故者との思い出を蘇らせるような雰囲気に包まれました。また、90歳過ぎの長谷博友元京大教授夫妻もご参加され、教授の歌集の一部が披露されました。和歌は「犀川」・「紫陽花」・「原子物理学と和歌」などの小題で、教授の境涯等が格調たかく詠われていました。
この和歌から、無常観(紫陽花の色褪せそむるを見るさびし脚引きしろひて歩めるわれは)や唯識思想(犀川の岸に横ほる里山の木木色づくを窓ゆ見放けり)が汲み取れると、老師が会員にも紹介して下さいました。
ご提唱の本題は「慈悲の瞑想」でした。老師から本文で気に入ったところはないかとの問いに対し、会員からは「喜捨」や「自我」についての話が出されました。老師は「利害にとらわれず、自我意識を離れることの大切さ」や「物の正体に実体はなく関係性のみがある」等とまとめられました。この自由討論なようなご提唱では、先輩が後輩に体験を語る重みを感じました。先輩は自身の修行の成果を確認し、後輩は自身の修行の方向性や新たな気づき・疑問があったと思われるからです。(文責:峰村)
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