桃やリンゴの実も膨らみ始め、初夏を思わせる日でした。
桐山老師のご提唱は、6月の演奏会で発表されるご自身が作曲された歌曲、方丈記より「行く川の流れ」に関係したお話でした。この楽曲の元になっているのは、日本三大随筆の一つである鴨長明の「方丈記」の序の部分で、「ゆく川の流れは絶えずして・・・中略・・・消えずといへども夕べを待つことなし」です。これは鎌倉時代初期に書かれた名文で、随筆の底流には仏教の「無常観」があり、これがキーワードになっているとのことでした。
遠い昔の鎌倉時代のことですから、他人事として捉えがちです。しかし、桐山老師は、現在の日常や生き方と結び付けた事例―昨年まできれいだった田んぼや畑が、今は草ぼうぼうの荒れ地になっている、昨日まで元気だった人が、今日は病に倒れている、また、現成公案冒頭の「花は愛惜にちり草は棄嫌いにおふるのみなり」など―を自分の事として感得できるように、説いて頂きました。
無常とは物事は絶えず変化して消え去り、また生まれ変わるという事実です。これを自分の身で受け止めた上で、「ありがとう」・「わたしは幸せでありますように」・「道元禅師の現成公案」等々の言葉を繰り返し唱え・読誦すると、それが日々の言動に現れてきて、次第に執着心を離れ菩薩道(他の幸せを願い、苦しみを越え、平穏に生きる)が実現してくる、と教えて頂きました。
6月18日は、飯島老師をお迎えしての正受庵坐禅会になることを確認して散会しました。
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