<<令和4年6月5日 定例禅会>> 参加者:6名 会場:サンライフ長野

 木々の緑も濃くなってきた穏やかな午後の坐禅会でした。
 ご提唱は、桐山老師が幼少期に祖母に連れられて歩いた道中で石仏に念仏を唱えさせられたことや、父親がお盆にお棚や提灯を出して般若心経を唱えさせられたことが、現在の自分の宗教的な素地になっている、というお話から始まりました。
 本題の現成公案は、「自己をはこびて・・・すみやかに本分人なり」の個所でしたが、ポイントを具体の姿から教示されましたので記します。先ずは、「迷い」だが、これは執着する心から起こる。駆け引き・利害関係・下心がはたらくからだが、この心は誰もが抱えていることで、これが本当に見えれば、自分はせこい人間だと分かり謙虚になれる。次は「迷中又迷の漢」だが、迷いや悟りは言葉での表現である。真実在は一つだから迷いとか悟りとかと言葉で分けて考えることはできない。従って迷いの中で平気で迷っている人を「迷中又迷の漢」という他はなく、これが悟りである。更に、真実在は一つとは、例えば、木々の緑に見とれているときや小鳥のきれいな歌声に聞きほれているときの様相である。色や音の中に自分が溶け込んでいるから一つ(色だけ・音だけ)である。こうなると、すべては自他一如で一つである。
 道元の「聞くままに又心なき身にしあれば己なりけり軒の玉水」も、芭蕉の「よく見ればなずな花咲く垣根かな」も、山本老師の経机を叩く「トントントン」もこの自己一つを示している。現成公案を繰り返し読誦して感じ取って下さい、と締めくくられました。



<<令和4年7月9日 定例禅会>> 参加者:6名 会場:サンライフ長

 暑く騒然とした社会(コロナ禍7波の兆し・元首相銃殺事件・等)を尻目に、泰然として坐禅会を行いました。
 ご提唱は、この世情を、刮目かつもくして真受けし、「民主主義が壊される」という上辺の評論に流されずに、人間の本質(心の闇や深層等)に迫る事が禅を修する者の生き方である、と口火を切られてから本題の現成公案に繋げていきました。
 復習も兼ね、冒頭の「諸法の仏法なる時節・・・すみやかに本分人なり」まででしたが、とくに重視した文言は、(ア)「花は愛惜に散り、草は棄嫌におふるのみなり」・(イ)「自己をわするるなり」・(ウ)「休歇なる悟迹を長長出ならしむ」でした。
 (ア)は、元首相の死を悼んで弔意を示したプーチンに仏性をみたこと、つまり、仏性はどんな人にも具わっていること、(イ)は、不安の心を出してみよと達磨に言われた慧可が、苦心・工夫の末に不安の心と一体(無心)になってこれを脱落・解脱できたこと、(ウ)は、道元が「眼横鼻直」なる真実を得て帰国したこと、つまり、ありのままの事実をそのままに肯定することが大事で、悟ったとか悟らないとかは問題ではないこと、などが具体的な事例とともに語られました。
 「分からないということが分かった」、ということが本当に分かったことになると強調されましたが、これを了得することは、「禅は人々を、不可得という仕方で自証する自己に目覚めさせる」(大拙)という言葉に繋がることで、容易ではありません。しかし、桐山老師の語る具体的先人の事実や宇宙を前にした人間の在り様(桁ちがいのスケール)に励まされながら、工夫を重ねたいと思いました。



<<令和4年7月17日 定例禅会>> 参加者:4名 会場:円城寺

 4人だけでしたが、4人も参集して頂き、熱心に坐禅会を行いました。
 ご提唱は、安倍元首相の銃撃事件に絡み、宗教団体の在り様から始まりました。判明した団体の存在・活動は、宗教に対する不信感・警戒感を広めることになるのではないかと心配される。私たちも、本会において自信をもって禅・坐禅に打ち込み、この正統性・正当性を主張できるようにするためにも、宗教の本来的意義を正しく知り、宗教に対する社会や政治の動向を注視することが大事である、との心構えを教えて頂きました。
 本題は、現成公案の「人はじめて法をもとむるとき・・・万法のわれにあらぬ道理あきらけし」の個所でした。仏法の真髄がきちんと分かると、人は謙虚になれる。そのためには、舟と岸との関係の事例から、「目をめぐらして(自我を中心にさかさまに)岸を見る」のではなく、「目を親しく舟につける(頭で分別して理解するのではなく、物事をそのままに見る)ことである。すると、自分の本性が分かり、自然の光・風のそよぎなどをそのままに親しく美しく感じることができる。光・絶えず変化する山・そよぐ風などの現象が、そのまま自分であったと気づくことができる。これは簡単なようでいて、簡単にはできない。「お金」・「名誉」等の欲望を惹き起こす自我にしがみついているためである。これを乗り超えると宇宙と親しく連動している自分が分かる、と真の坐禅・禅から得られる明るい展望を力強く示して頂きました。



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