六年生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
卒業をお祝いして、一つだけお話をしたいと思います。
私は、以前ある身体障害者の方の話を聞いたことがあります。その人は、幼いときに小児麻痺という病気になり、一生歩けなくなりました。その人がニュージーランドに行ったときの話です。ある街角で、小さな男の子が近づいてきて、「May I help you ?」と言ったそうです。訳せば、「何か、お手伝いすることはありますか?」という意味です。身体障害者の方は、そのことに大変驚いたとのことです。その頃の日本であれば、「あっ、びっこだ。」とか、「お母さん、どうしてこの人、足が変なの?」と目の前で言われたり、見て見ぬふりをして通りすぎるのがせいぜいなのに、この違いは一体なんなのだ、と思ったそうです。
私は、この「May I help you ?」という言葉自体にも驚きを感じます。そのまま訳せば、「わたしがあなたを助けてもよろしいですか?」という意味になります。今までの日本は、競争に勝ち抜き、他の人よりもまさった人間になることを目標に歩んできたように思います。しかし、これからの日本に必要なことは、この「May I help you ?」の精神だと思います。イエスキリストの言葉に、「何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。」というのがあります。これは、人間関係のすべての問題を解決するカギの言葉だと思います。ご卒業の記念に、この二つの言葉を皆さんにお送りしたいと思います。
後略