コンピューター日記 1996年

(1)会社 コンピューター導入の顛末

@コンピューターの選定

 社長が暮れに近くなって(95年)、コンピューターを買うかと言う。まさかうちの社長がそんなことを言い出すとは夢にも思っていなかったので、驚いたが、そうですね、いろいろと便利ですよ、などと答える。機種の選定は任されたので、NEC9821Xa13と、230MB(メガバイト)のMO(光磁気ディスク)、ページプリンターにドットプリンターを決める。一年前の時点では、CPUが133MHz(コンピューターの速さ)、メモリー16MB、ハードディスク1.2GB(ギガバイト=1000MB)、ディスプレイ17インチ、データのバックアップのためのMO、伝票を複写で印刷するためのドットプリンター、普通紙に印刷するためのページプリンターが必要と考えたためである。

 その機種を選ぶ前の段階で、会社に置いておいた私のノートパソコン(コンピューター日記1993年 参照)で、会社の年末の事務的な計算を手伝っていたのだが、表計算で、全農家(500行位)を縦軸に入れ、横軸に必要なデータと式(20列位)を入れると、殆どパンク寸前でカーソル一つ動かすのにものすごい時間がかかるようになってしまっていた。そのファイルサイズは1MBを越え、フロッピーにも落とせなくなってしまうということが分かった。そのため、メモリーがめいっぱいほしかったということと、データを保存するためにMOが必要と考えたわけです。そのうち社長から伝票も打てるかと言われ、出来ると思います、と答えたのだが(ワープロと表計算は自信があったが、伝票と言われればデータベースを使わないとだめだなと思ったが、それはまだそれほど自信がなかった)、そのためのドットプリンターを入れ、ハードのシステムはほぼ整う。

Aソフトのインストール

 年明けから、その年の1/3は、(精神的な意味で)コンピューターで明け暮れする日々が続く。まず、ウィンドウズ95がプリインストールされているのだが、まだDOS(ドス)のソフトを使いたかったのと、データ専用のドライブが230M(MOの容量と同じにすることで、ドライブごとMO一枚にバックアップできると考えた)欲しかったのとで、結局全部消して新しくハードディスクを切り直す。コンピューターというものは、ハードディスクの中身を消してしまうと、フロッピーディスクしか認識できなくなってしまう。従って、CD−ROMにいくらソフトがあっても、CD−ROM自体があることさえ分からないので、ハードディスクにDOSを入れ、CD-ROM EXTENSIONのファイルをコピーして、CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATファイルにCD-ROM EXTENSIONの記述を書き込み、…と、やはり、建て売り住宅を買うのと自分で設計した家に住むのに使う労力の差のようなものがコンピューターでもあるということでしょうか。Aドライブを将来的にウィンドウズ95のソフトのために880MB、Bドライブがジャストシステム社関係のDOSのソフト(ワープロの五太郎と表計算の三四郎、データベースの五郎、作図の花子3(さん))のために100MB、Cドライブをデータ専用として230MBに割り振る。

Bデータベース 五郎1

 どうして、それまでデータベース五郎のすごさというか、素晴らしさが分からなかったか。(以降、データベースは五郎Ver1のことを指し、表計算は三四郎Ver1を意味します。)今にして思うと、データベースというものの考え方が根本的に分かっていなかったということと、表計算の頭でデータベースに入ってしまったからだということだろう。何か同じ表のようなものが出てくるので、同じようなものだということで見てしまったのだ。従って、その違いが分かるようになるまで苦労することになる。その違いを、モーターボートと客船に例えれば、小回りのきく軽快なモーターボートが表計算で、小回りはきかないがすごい装備と能力を備えている客船がデータベースと言えるのではないか。

 まず、表計算はあくまでも一枚のシート(最近は串刺し計算のような3次元的なものが出来るようですが)で、別の表のデータを読み込む場合でも、同じシートの別の場所に別の表を張り付けて置いて、それをVlookup関数などで参照するわけだが、表計算の欠点は、すべてのセルにその関数の式をコピーして使うため、表がメモリー的にすぐ巨大化してしまう。それに加え、それをあまり多用すると動作にすごく時間がかかるようになってしまう。その点、データベースは他の表との連携が専門で、シートとは別の表定義の画面で式を一つ書けばよく、メモリーサイズも信じられないほど少なくてすむ。多分、表計算の1/10以下(もし100行の表があった場合、表計算は、同じ列の全てのセルに式をコピーして、同じような式が100作られることになるが、データベースは式一つですませる)。また、データベースは、一枚のシートではあるが、そのシートを色々書式を作って置いて、見せ方の画面を切り替えられる。また、それを定義する画面、集計した画面、カード型の帳票画面、その帳票を設定する画面、入力と計算結果の表示の専用画面、表と表が結合しているように見せる画面等、様々な見せ方が出来る。さらに表形式の帳票で、データをグループ化して集計し、グループ毎に計算結果を印刷することもできる。

 表計算は、一枚のシートにデータも式もマクロもみな混在して書き込むが、データベースのシートはデータだけである。そして、優れているのが、絞り込みや置換、表を様々な形に作り変えたり、表と表の合体(併合と呼ぶ)や変換、データをグループ化してグループごとに並び替えたり集計したり、膨大なデータがいとも簡単に操作できる。まさに、これぞコンピューターという感じのするソフトである。逆に欠点として小回りがきかない(例外に対する対応力が弱い)というか、何でも出来るという反面、何でも設定しなければならず(最初に書き込む表でさえ、定義してからでないと開かないし、列には必ず重複しない項目名を入れなければならないし、最初はどうしてと思ったものだが、後で納得する)、設定しないと何も出来ないというか、一度設定してしまえば、これほど便利なものはないというか(一つの表に対し何種類も帳票を作って置いて、表には限りなくデータを蓄えていっても、帳票を選ぶことによって、必要なデータだけを必要な形に加工・計算をして印刷できる)、…。

C山有り谷有り

 今年は導入の年であるので、出来るところまでやってみて、だめでもいいように今までの事務も平行してやっていく、ということで始めたのだが、やって行くにつれ、色々が出来ていってしまって、結局やりたいことは皆出来てしまった。こうなると、出来ない業務はないようにも思えてくるので不思議なものだ。しかし、実際は途中幾つかの問題点や困難とぶつかり、娘や息子に寝る前によく祈ってもらったものだ。身近に五郎を知っている人もなく(問題を解決した喜びも、行き詰まっている苦しみも、それを理解してもらえる人が回りに誰もいなくて、孤独を味わいながら)、相談できる人がいないのが一番大変だった(分かっている人にすればちょっとしたことが、初めての場合分からない)が、唯一頼りだったのはジャストシステムのサポートセンターで、初め電話をかけてもなかなか通じなくて、友人に相談したら、ファックスで送ればよいとのこと、5回ほどやりとりしたが、無事解決した。業務で使うとなれば、ソフトの安さよりもこのサポート体制の良さの方がより重要な感じがします。そのサポートも10月から90日間の無償サポートということで、有料化されるようです。

 幾つか気づいた点をあげると、伝票は市販の10インチの二枚複写ものを使用したが、どう設定しても、字間が微妙にずれていく。ふと、インチだ!と気が付いて、設定をミリからインチに変更したら、うまく行く。また、どんなデータにも、コード番号を上手にふるということが秘訣で、データが膨大になるほどコード番号で分類する必要が出てくるし、その際、コード番号順に並び替えることになる。会社で使っている主要なコードは、担当者コード、支部コード、得意先コード、商品コード、品種コード、分類コード等である。これらのコードをどんなデータにもつけておくことによって、このコード毎の分類と並び替え、集計、表示、印刷が出来ることになる。

 

(2)コンピューターを買うには、遅ければ遅い程良く、コンピューターを覚えるには、早ければ早い程良い。

 最近のコンピューターの値下がりには、何とも言えない、唖然とさせられるものがある。前号のこの欄でメルコのハンディスキャナを買った話を書いたが、わずかその半年後には、2万円も値下がりをしている。又、2月に8MBのメモリーを32000円で買ったが、それが8ヶ月後には、1/3よりも安くなってしまった。一体自分が投資したお金は何だったのだ、とほほほ…。

 しかし、このコンピューターの世界の変化の激しさには、私自身ついていくのに困難を覚えるほどである。ソフトの導入などは初心者でも分かりやすくなってきている反面、その機能や能力は数限りなく増えてきているので、使いこなすようになるには、早い方がよい。年齢が上がるほど、新しいジャンル(フープロ、表計算、データベース、デザイン、製図等、それぞれが新しい世界)に初めて首を突っ込むということは大変だと思います。ここ、1、2年で、全く読み書きコンピューターの時代になってしまったという感じがします。この、読み書きも、コンピューターに取り込まれてしまうのは時間の問題ではないでしょうか。

 

(3)ウィンドウズ95と一太郎7

@グレードアップ

 ワープロの中に写真データを張り込みたいと思っていたので、ウィンドウズ対応のワープロをいつか導入したいと思っていたが、一太郎7が出たので、ついにウィンドウズ95と共に入れることにした。それについては、前号のこの欄で「しかし、そうなるとハードディスク1GBとメモリ16Mがほしくなるし、その次はオーバードライブプロセッサ、ウィンドウズ対応のソフトと果てしなく出費が続き、…う〜ん。」と予測したとおりになった。

 2月頃、会社でやっていた五郎の業務の中で解決できない問題を家に持ち帰ってやっていたのだが、自分のコンピューターでやらせていた計算が25分もかかったものがあり、それをあくる日会社でやったらものの数秒で出来てしまった。これは、もう5.6MBのメモリーではどうしようもないと思い、8MBのメモリーを買うことにした。ついでに、ウィンドウズ95対応にしようと思い、一緒にオーバードライブプロセッサとハードディスクを買ったのだが、しめて10万円の出費。9月に一太郎7を買ったのと一緒にウィンドウズ95とさらにメモリーを20MB増やし、これで5万円。一体20万出せば新しいコンピューターが買えてしまうのではないか。しかし、欲しい物となると30万はするし、いっそグレードアップなどせずに、じっとあと2、3年我慢していて(画像やインターネットをやろうと思わなければ、今のままで十分でもある)、その後で新しいものを買いかえた方が良かったか、と今になって思ったりもするがもうしょうがない。

A一太郎7

 使ってみてがっかりしてしまった。まず、画像を張り付けるのは大変やりやすくうまくもいったが、この文書に写真を貼り付けていったら、とたんにファイルサイズが大きくなり、3枚も張り付けたらメモリーが足りないような表示が出たり、動作も遅く、画面表示が入力に間に合わない。

 さらに、この編集で重宝していた、ランク機能がなくなっている。一体、2段階もバージョンアップしたのに、機能が減ってしまうとは何事か。

 まあ、使っているうちによさも分かってくるかも知れませんが、このたよりも途中から、5太郎で作っているような始末で。

 

 

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