家庭セミナー
☆ 「子育ての勘所」 森脇弘隆氏 (新生病院 小児科医長)
                         2001年10/1 
講演会要旨&抜粋
 

1、何と言っても仲の良い夫婦関係がその土台

 …社会の崩壊は、家庭の崩壊から始まります。家庭の崩壊は、夫婦関係の破綻から始まります。そうなると、子どもたちが最も大きな被害を受けます。結局、その社会の健全さは、個々の夫婦関係の健全さによって決定づけられるのです。たとえ結婚生活を長く持続できた夫婦であっても、それがもろくも崩壊してしまうとすれば、その最大の要因の一つは、子ども中心に生活してきたことにあるでしょう。(エモリー医科大学 アルフレッド・A・ネッサー)
 

1)家庭の土台は、親子関係以前になによりも安定した夫婦の関係にある。

 よりよい夫婦関係が子育てのポイント
夫婦は港と灯台
 安定してのびのびと豊に育っているお子さんの家庭をのぞいてみると、たいていのお父さんとお母さんの夫婦仲も安定しています。子どもはこれから、荒波の大海原に出ていく小舟のようなものです。そして、お父さんとお母さんは港と灯台みたいなものです。そこがしっかりしていなければ、荒波の中に航海に出ていくことが出来ません。また、安心して帰れる場所、見守る人がいないとダメなのです。ですから、お父さんとお母さんは是非互いに愛し合ってください。そして、安定した夫婦関係を築いてください。
 
 …優先順位を間違えないこと→夫・妻 そして 子ども、もちろん姑ではない。
 聖書には結婚のことはですね、その男と女はその父と母を離れ、二人は結び会い、一体となると、創世記というところに書いてあるんですね。つまり、お父さんお母さんも親離れをしなければいけないし、おじいちゃんおばあちゃんも子離れ、つまりお父さんお母さん離れをしなければいけないというのが、一つポイントなんですね。私が結婚する時もですね、私の家内は由美子というんですけど、私の両親に「私はこれから由美ちゃんが私の妻となるから、お母さんよりも由美ちゃんの方が大事だよ。ぼくも親離れをするけれど、是非お母さんも子離れしてください」と確認して結婚しました。
 例えば、うちは行って来まーすとか、ただいまーいとかいうときに、だいたいこうハングしてですね、行って来る愛してるよとか、ただいまー待ってたーとか、そうすると娘にめぐちゃんというのがいるんですけど、今5歳、行って来るよと言うとバイバイきーんとか言ってめぐが来るんですけど、まず妻、「めぐちゃん待ってて」、「由美ちゃん行って来るね」それからめぐちゃん。「ただいま」「パパ」「めぐちゃん、待ってて」まず、由美ちゃん。それが、原則。誰を優先するか。実は、妻を優先させている方が、子どもも安心するんですね。次は、私に来てくれる。…優先を間違えて子どもに向かっちゃうと、だんだんと夫婦の土台が崩れてくる方向に向かって行くと思うんですね。私の友人がこんなことを言ったんです。「うちの家内ね、子供が産まれる前は、彼女は本当によい妻でした。でも、あの子が産まれちゃったとき、もう伴侶ではなく、母親になってしまった。」
 

2)夫婦のコミュニケーションÝ愛を伝達しよう!!

 非言語的要素が大事なんですね。例えば、プレゼントを何かの記念に渡して気持ちを表すとかですね。子供が産まれたときに、子どもはもちろん嬉しかったけども、子どもの洋服を持って行く前に、妻に50本のバラをプレゼントしました。「愛してるよ、由美ちゃん、よく耐えたね。」…
 そして、子ども抜きの夫婦だけの時間を作らなければならない。
 

3)聖書に見る夫婦関係

 …夫が妻を愛し、妻が夫に従う基盤の上で、子育ては初めて成立する。
 「妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。」(聖書 エペソ人への手紙 5:22)
 「夫も自分の妻を自分のからだのように愛さなければなりません。」(〃 5:28)
  妻とすれば、かちんと来る人もいるかもしれないけれど、実は夫の方が厳しいことを要求されている。つまり、キリストのように、命をかけて、自分を犠牲にする愛で妻を愛するということ。
 この関係がわかってから、結婚することが大切。
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
  …子どもは両親の仲の良さや、けんかの雰囲気を敏感に察知しています。あなたの家庭内の現在の雰囲気はどうでしょうか?
 

2、一貫した教育方針の打ち合わせ

「むちを控える者はその子を憎む者である。子を愛する者はつとめてこれを懲らしめる。」(聖書 箴言13:24)

1)子どもを混乱させないために一貫した方針が必要。また、時に微調節も必要。

2)きちんとしつける→

@子どもの自己中心の意志は、鉄の意志。まず「ダメなものはダメ」と教えること。
A罰を与えるときは、勇気と一貫性をもって与える。罰は、子どもが本当に泣き声を上げるほど痛いものであるべき。泣かせて、感情を出させた方がよい。また、手は愛情を与えるために神が与えたもので、罰には使わない方がよい。
他人の前で泣かせるのは、自尊心を傷つけるので、別の場所でする。
 罰と虐待は異なる。
B泣いた後、子どもは親に抱きついてきます。 この時に、十分に抱きしめ愛を伝えること、そしてこの時が、しばしばコミュニケーションの最良の場となります。
 
 幼いときに勝った方が、思春期の対決にも勝つことができる。
5、6歳までは、ペン(叩くこと)は有効だが、それ以降は楽しいことをさせない罰の方が賢明。
 

3)一般常識を土台として、専門性と人間性を養う。

挨拶、約束を守る等。
 
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
…子どもを大切にするということと、子どもをわがままにさせるということは違います。本当に愛するなら、愛するわが子がやがてきちんと社会生活を送れるように、必要なことを教え、良い習慣を身につけさせることが、親としての大切な責任です。一方がお菓子を無制限に許し、他方が厳しく制限したりすると、子どもは、親の目を意識しながら行動を使い分けるようになります。テレビに関する規制はあるのか、消灯時間は何時なのか等々、夫婦の間でよく話し合っておくべき、我が家における教育方針はあるでしょうか?
 

3、叱り方と褒め方を工夫して

 …一つ叱って、二つ褒める。
  一つの物差しではなく、色々な物差しではかる。
  最後は褒めて締めくくる。
 
・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
  …あなたは、どちらかというと厳しすぎる傾向がありますか。叱った後には、抱擁したり、良い点も取り上げて褒めてあげたりと、バランス良いしつけを心がけているでしょうか?
 

4、一人一人の特徴を見抜く

「見よ。子どもたちは主の賜物、胎の実は報酬である。」(聖書 詩編127:3)
 

1)人間には、2つの可能性がある。→

  @際限なく自分を落としめていく、暗闇の性質
A自分を向上させ輝き得る性質

2)一人一人の子どもの可能性を見抜く目を養い、'この点で伸びる'と見込んだら、投資を惜しまず、長所を伸ばすようにする。やがて短所は、長所にのみ込まれていく。

3)子どもたち一人一人が、'私が一番お母さんから愛されている'と感じる子育てを。

 …二人だけの特別な時間を持つ。たとえ週一回でも。
 
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
…あなたは、子どもは神様からのプレゼントで、一時ゆだねられているものだ(自分の所有物でない!!)と考えたことはありますか?子どもの良い点、関心、伸びていく可能性を、どう評価し、そのために心を費やしているでしょうか。良き管理者としての意識をもって子育てに向かいましょう。
 

5、楽しい家庭づくり

「一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。 」(聖書 箴言17:1)
 

1)我が家は楽しい(^o^)!!と、子どもは感じていますか?家庭に団らんはありますか?

2)子どもと遊ぼう

 →父親が子どもと遊んでいる時間は、一日37.7秒だった(コーネル大学の10日間の調査。父親の意識は、20〜40分だった)。

3)ことばで価値を伝達しよう

 …日常生活の90%が否定的な言葉。→励ます言葉が必要。
 目で愛を伝えよう
 …子どもと視線が合うときは、にこっと笑う。
 体にふれよう
 
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
…あなたの家庭に、子どもの成長段階にあわせた、楽しい企画があるでしょうか?子どもにとって、この家庭に生まれて良かった、と思わせる親としての工夫は何ですか?
 

6、悪口・うわさ は言わない。そして、家庭には赦しを。

1)子どもたちに向かって、配偶者を批判しない。

→父親の権威を認め、秩序ある家庭を保つ。

2)赦すとは、思い出に帰らないこと・以後そのことにふれないこと・忘れること、そして、自分自身を赦すこと。

('私は赦されている'という解放感を味わっていることが大切)
 
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
…あなたの家庭では、悪口・うわさ・他人へ批判、そして、子どもの前で配偶者を批判するようなことが、ブレーキなしに流れていないでしょうか?これらの話題は子どもの人格に大きな悪影響を及ぼします。夫婦が互いに自制し、気をつけましょう。
 

7、主婦という素晴らしい使命

1)'使命'ということ。

 三浦綾子が若い人に向かって言いたいことは?と問われて言った言葉。「使命を早く見つけてください。それを見つけたら、命をかけてください。」
 ガンの末期で、小説を書き続けたが、小説を書くことは私の使命であり、使命とは命を使うことだと語ったとのこと。
 ホスピスを始めた柏木哲夫さんは、死にゆく人を看取ることが私の使命だと言って、24時間、ポケベルでの呼び出しに出かけていったが、その後ろ姿を見ていた息子さんは会社に入った後、医学部に入り直した。
 

2)自分で自分を評価して、そして、夫婦互いに評価すること。

 
 ・チェック!!(夫婦で話し合いましょう)
…2歳児との母子関係は今しかありません。4歳になった時の親子関係も二度とは戻ってきません。特に母子関係は、その子の将来や人生に絶大な影響をもたらすでしょう。このかけがえのない貴重な時期を、'神様が下さった黄金の時・使命'と心して、自分でもきちんと評価しながら、喜んで携わっていきましょう。ご主人の毎日の働きにも感謝し、夫婦互いの働きを評価して、感謝と励ましの時をもちましょう。

 

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