桐山 紘一



 無得老師の侍者として参加したつもりが、かえって老師にお世話になるような形になってしまいました。老師は3度目の招聘に応えての渡航で、大変慣れておられましたので、私は安心して参加し、貴重な体験をさせていただくことができました。ここに概要を記して御礼に代えさせていただきます。

<行程>5月9日〜25日
8日、出発前日に成田市内ホテルに宿泊。
9日、成田発(11:20)オーストリアン航空で、オースリア・ヴィエンナ空港経由ベルリン着(14:25RT)。
 純道・覚心さん運転の車でシュシェチン市、三宝院着(約3時間)(16:30以下RT)。
10日〜13日、三宝院泊、信者の方々と坐禅、質疑懇談・市内観光。
 三宝院は観禅さん(日本曹洞宗寺院で長年修行)が建立された寺院で、毎夜坐禅、日曜日は坐禅と講話があり、十数人が毎回真剣に坐っておられる。
14日〜16日、電車でボスダン市に移動し、ホテルに宿泊、市内観光。
17日〜23日、摂心。ボスダン市より南下し、チェコとの国境近くの高原にある摂心会場(Wojtowice)へ。ヴァルチックさんの車で4時間半。
23日、摂心終了。ボスナン市内、ビテクさん宅に泊めていただく。
24日ベルリン発、25日早朝、成田着。

<摂心の概要>
 会場は山小屋風の宿泊施設で、50畳くらいの禅堂と自炊ができる食堂、各室からなり、高原の清浄な環境は摂心に最適でした。
 企画の法純さんから、釈迦牟尼会の方式で直日をやるように依頼されましたが、このような摂心は今まで2回行われており、今までのやり方をできるだけ尊重し、現地に合った自立できるような方向を模索しながら対応することにしました。老師からは、「ガットをして打たしめよ」というフランスの有名なテニス選手の言葉をいただきました。「賊馬に乗って賊を追う」ということでしょうか。
 参加者は合計34名、ほとんどは三宝院で修行を続けている方々で、ドイツから2名、韓国の坐禅会から3名、他、若干名の方々でした。
 皆さん坐禅はかなりやっておられるようで、摂心は初めての方が少し、2〜3回目の方が多い。坐り方は姿勢も良く立派なものでした。しかも坐禅中の居眠りは皆無であり、真剣さは見習うべきものでした。教典の四弘の誓願、般若心経、観音経、白隠和尚坐禅和讃等は皆、日本語で立派に称えているのには吃驚しました。
 日程は釈迦牟尼会とほぼ同じで、暁天、朝、昼、夜の4坐で、1炷35分間。独参はそれぞれ自分の問題を持って、いつも全員入室して真剣そのものでした。
 老師の臨済録の提唱は大変素晴らしいもので、私はポーランドまでやって来て良かったとつくづく思うほど感動的でした。CD等で会員のみなさんにも聞いていただけるようにしたいと思います。





 今回は坐禅体操を提案し、暁天・夜坐の後にやってもらいましたが、大変喜んでいただきました。坐禅体操が海を渡ったと言って、これを作った稚堂老師も天国で喜んでおられることでしょう。

 西欧の仏教は最近、チベット仏教が盛んにとり入れられたり、日本の曹洞宗や臨済宗、浄土系の仏教が少しずつ導入されてきたりしており、今回の釈迦牟会への要請に繋がっております。
 近代文化や現代科学が、一神教では説明がつかなくなってきており、仏教の新しい思想に期待して、実践的に熱心に取り組む動きが起こってきているように感じました。
 トインビー博士は、21世紀は仏教が世界の宗教になると予言されていますが、これは以外と早く実現するのではないかと、今回の摂心を通して感じました。お釈迦様の正しい仏法が世界に敷衍することを・南無甚深般若波羅密多・・・





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