坐わり方ナビ


2006.1.15
 桐  山  紘  一


1.坐禅は人生の縮図である。活き活きとした坐禅をしていると生き生きとした人生となり、だらしない坐禅をしているとだらしない人生になる。硬い坐禅をしていると頑なな生き方となり、柔軟な坐禅をすると自由奔放な人生が約束され、その逆も言える。

2.坐禅するとすぐ眠ってしまう人がいるが、寝ているのは坐禅ではない。それは坐禅をして眠る練習をしているようなものだ。少しくらいは眠気と涙ぐましく戦え!。戦いに破れ果て、いつの間にか眠ってしまうというのが人生というものだ。

3.目は須く開くべし。
  単に眠くならないためにという外に、見て見ていない、聞いて聞いていない、考えて考えていないという禅の神髄に触れるためである。

4.坐禅をして根性を鍛えるというような間違った風潮があるが、坐禅は我慢比べではない。安楽の法門である。決して無理をしないで自分のペースを大切にして坐ることである。

5.坐禅は究極のリラックスである。
 理想的な坐禅をしている人は、外見は寄りつきがたい峻厳な様相をしているが、内面はどこまでも柔軟で開放的あり調和がとれている。そのためのポイントは必要のない筋肉はゆるめることである。特に首筋や肩の力を抜いて、背筋や胸はスクッと軽く伸びやかに、おしりをやや後ろへ引くようにし、お腹をクッと落とすようにすると腰骨が楽に立つ。坐禅を始める前に軽く柔軟体操をするのも良い。
6.臍から鼻の頭に糸が結ばれていて、それをピーンとさせているような気持ちで坐る。

7.坐禅は呼吸であるとさえ言われている。
 ゆったり・深く・柔らかく・静かな呼吸に心がけていると、息がだんだん長く丸くなっていく。しかし、ことさら長くしようとして力んだりすると、長くなりすぎた分、苦しくなり、吸気が速く短くなって呼吸が乱れていく。

8.坐禅の呼吸のポイントは、呼気と吸気の転換点を、だいじに、ゆったりとすることるである。そうすると呼吸全体が卵形となり、息することの良さをしみじみと味わうことができ、心身が調和してくる。(卵形の息は、光龍老師が「在家禅入門」の中で強調している)

9.腹式呼吸をするのだといって、むやみに腹に力を入れて、ふくらめたりへこませたりしている人がいるが、そんな必要はない。先ず楽な坐禅の姿勢をとり、鳩尾から丹田にかけては、ゆるめておくことが肝要である。そうすると気が丹田にスッと落ちてゆくものである。体の重心が丹田にあるときの良さを味わうことができるようにしたい。

10.息が出ていくにしたがって、上腹部から少しずつへこんでいく。続いて下腹がへこむにしたがって丹田が少しづつ充実してくる。卵形の息の転換点を経て、少し息に余力を残して自然に吸気に転換していく。その良さを味わうことができるようになれば、公案に取り組んでいても坐禅の呼吸が乱れないようになる。

11.鼻の前に羽毛を吊しておいて、それが揺れないような静かで柔らかくゆったりした呼吸に心がけるようにと、古人は言っています。

12.鈴木正三は「果たし眼の禅」を勧めた。
 朴念と静まりかえっているだけの閉じられている禅ではなく、明るく躍動している坐禅でありたい。限りない開けの坐禅である。

13.今の坐禅は今しかない、決してやり直すことはできない。一息一息生まれ変り死に変ることです。

14.純なる生命のはたらき(上田閑照著 禅仏教より)
 我々は日々新たに、坐禅を今日一日になすべき唯一の事としなければならない。このような決心の反復と努力の継続とのうちで、主観的な努力を超えてその努力を支えるようなものが次第に事実となってくる。我々の心身を薫習した怠惰のもう一つ底の、我々を生かしめている純なる生命ともいうべきものが、坐禅によって徐々に働きだして来て、坐禅をしたいというように心身が実際に動き出すであろう。


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