桐山紘龍 .
1.世界に広がる禅(ポーランド〜ロスアンゼルス〜オランダ) |
無得龍廣老師は若い頃より、世界へ禅を広めるという強い思いがあったと述懐されております。特に釈迦牟尼会四代会長に就任してからは、ポーランド、オランダへ何度も往来し、布教活動を精力的に行って来られました。 |
私は、この報告文を読ませて頂いたときに、何故お二人の祖師がここに出てくるのか即座に理解できませんでした。 さらにその思いは龍廣老師に引き継がれ、ポーランドやオランダに伝えられてきたと思います。このような法縁にめぐまれたことに改めて感謝し、その経緯を記してみたいと思います。
|
2.世界への架け橋(無得龍廣老師と法純さんとの出会い) |
無得龍廣老師のポーランドへの布教は、曹洞宗の禅僧シュプナル法純さんのお力によるところが大きいと思います。彼は龍廣老師の法話に感動され、老師を招聘してのポーランドの接心を企画推進されてきました。 |
![]() 老師と法純さんとの出会いは、まさに西洋と東洋の思想文化の出会いであったと思います。日本語に表現され、より進化した大乗仏教思想を、西欧へ伝える架け橋になっていただくと同時に、仏教がさらに世界の宗教として発展することを期待して止みません。 |
3.ポーランドの摂心(平成27年5月9日〜25日) |
私は無得老師の侍者のつもりで参加させていただきましたが、かえって老師にお世話になってしまいました。老師はポーランドへの布教は3度目で大変慣れておられ、お迎えに来られた方々のお名前を親しく呼び合い、再会を喜んでおられる様子は、真に仏心で結ばれているように拝見しました。 | 私もその時はなるほどと、一々納得しましたが、老師の答えがどのようなお話であったか思い出せません、いつか再度質問してみたいと思っています。 |
![]() |
4.ガットをして打たしめよ |
摂心会場は山小屋風の宿泊施設で、50畳位の禅堂と自炊が出来る食堂からなり、高原の清浄な環境は摂心に最適でした。全体運営の法純さんから、釈迦牟尼会の方式で直日をやるように依頼され、老師に相談したところ「ガットをして打たしめよ」という、フランスの有名なテニス選手の言葉を示していただきました。このような摂心は今まで2回行われており、そのやり方をできるだけ尊重し、現地に合った自立できるような方向を模索しながら対応することにいたしました。 |
さて、摂心の参加者は34名で、ほとんど三宝院で修行を続けている方々でした。摂心参加は初めてという人が少しで、2〜3回目という方が多く、ドイツから2名、韓国の坐禅会からも3名、他、若干名の方々でした。
この様にかなり坐禅を経験されている方々が多く、坐り方はバランス良い姿勢で立派な
ものでした。特に坐禅中の居眠りは皆無であり、真剣さは私共も見習うべきものがあります。 |
5.臨済録提唱と坐禅体操 |
老師の臨済録の提唱は気迫のこもった大変素晴らしいものでした。聞く人の真剣さに応えての提唱ですから、日本に居るときと全く違って熱のこもったものになったと思います。提唱は、臨済禅師成道の経緯に触れた行録の部分を取り上げ、老師が原文を読み、法純さんが翻訳された英文を読んで紹介しました。初めは皆さん物語の要旨が理解できないようで何とも怪訝な表情をされていました。 |
トントントン、聞こうと思わなくてちゃんと聞こえるでしょう。私の力で聞いているのではない。心と現象が本来一つであり、世界と私が元から一つの命で働いているということです、と。・・・この提唱で誰もがそうだ!と納得した瞬間でした。 |
6.ロスアンゼルス禅センター創立50周年式典 |
平成29年6月16日〜17日に、ロスアンゼルス禅センター(現ナカオ恵住職)創立50周年記念式典と創立者の前角博雄老師の没20回忌、また前角老師の御尊父で御開山の黒田白純老師40回忌の法要が行われました。 |
その後安谷白雲老師、中川宗淵老師も禅センターを訪れており、日本の臨済禅が前角老師によって取り上げられ、その後30年間、前角老師は多くの立派な弟子を育て上げられ、嗣法した弟子達は全米のみならず、ヨーロッパ、南米にまで広がって活躍されています。 ![]() |
7.欧米に根付く看話禅 |
ロス禅センターには、広い坐禅堂に付随して二つの立派な独参する隠寮がありました。何故二つあるのか質問するチャンスを失してしまいましたが、私は光龍老師と前角老師のお二人が同時に独参を行う必要があったのではないかと、勝手に想像しておりますが機会があったら確かめてみたいと思います。 ![]() 法要後、黒田純夫老師が従容録より臨済瞎驢の提唱をされ、仏法を守るための師と弟子の懸命のやりとりを紹介。また前角老師の思い出に触れ、兄が米国へ出発するときに「私は米国に骨を埋める覚悟である」と言いましたが、その強い思いや祈りを、弟子達がしっかり受け継いでいることに感謝したい、と話された。 |
18日にはロス郊外にあるマウンテン禅センターへ移動して、境内の高台にある前角老師の墓を参拝供養した。黒田老師の説明では、前角老師の夢は、山中にある永平寺のような専門僧堂を中心とした修行道場と、都会では一般修行者のための道場という、二つが有機的に機能するセンターを考えていたということです。御影堂に白純老師、光龍老師、白雲老師、前角老師の写真が掲額されており、報恩と、更なる発展を祈念させていただきました。 |
![]() ![]() |