登場人物 配 役 キャラクター 言葉遣い
1、ナレーター
2、にわとり ぼく
3、ぶた 食いしんぼう おいら、ブー
4、ねこ きどっている わたし、わ
5、やぎ がんこ、おじいさん わし、じゃ、ぞ
6、犬 きがつよい おら
7、イエス様
第一場 野原に、ぶた、ねこ、やぎ、犬、にわとりが、集まっている。
ナレーター:ある所に、にわとりとねこと犬とやぎとぶたがいました。5ひ
きはとてもなかが良く、いつもいっしょにいました。ある日のことでした。
やぎ:あっ、あんな所に、麦の種が落ちているぞや。
ぶた:本当?やったあ。いただき。ブヒー。
犬:ちょっと待て。おらにもよこせ。
にわとり:だめさ。みんなで分けなけりゃ。
ねこ:でも、これっぽっちじゃ、みんなで分けるには、たりないわ。
ぶた:おれさまが、ちょいと食べるのには、ちょうどいいさ。いただきまーす。 ぶー。
やぎ:これ、わしがさきに見つけたんじゃ。わしのものだぞ。
犬:じゃあ、ひとりじめにするつもりか。ずるいぞ。
にわとり:ねえ、この種をまいて、麦を作り、ふやしてパンを作ったらどうかな?
ねこ:そうね。これだけ種があれば、たくさんの麦がとれるわ。
やぎ:たくさん、麦がとれれば、パンもたくさん食べられるというものじゃ。
犬:パンがいっぱい食えるんだな。
ぶた:食べることには、何でもさんせいだ。ぶー。
にわとり:では、同じだけ、種をくばるね。
(ねことにわとりは、みんなに種を配る。)
犬:よし、だれが一番おいしいパンを作るか、きょうそうしようぜ。
ぶた:おいらが、いちばんさ。ぶー。
やぎ:よしよし、それなら、今から家に帰って麦の種をまくんじゃ。
全:バイバーイ。
(左に、ねこ、犬、右にやぎ、にわとりが退場、ぶたは右側に残る。左側、幕を 閉じる)
ぶた:さて、どうしたものか。種をまくとは言ったが、芽が出なかったら、せっ かくの種がむだになっちゃうぞ。ブー。それよりは、種を食べたほうがよっぽ どいい。いただきまーす。むしゃ、むしゃ。ん、こりゃ、うまい。
(左側の幕を開ける。ねこの家のかんばん。右側の幕を閉める。)
ナレーター:さて、こちらはねこの家です。
ねこ:種をまいてと。種をまけばもうだいじょうぶだわ。これで、やっと安心し てお昼寝ができるわ。にぁーごぉ(あくび)。
ナレーター:こうして、ねこはくる日もくる日も昼寝をしていました。
それから、一月たちました。
(麦の芽が出てくる。それが、茶色の麦に変わる。)
ねこ:にぁーごぉ。よく寝たわ。もう麦が実るかしら。(麦を見る)
あらら、かれてしまったわ。せっかく種をまいてあげたのに、どうしてかれた のかしら。
ナレーター:やぎさんは、どうしているでしょう。
(右の幕を開け、左の幕を閉じる。左に羊の家の看板。麦が、青々と生えている。)
やぎ:種もまいたし、水もやった。雑草も食べてやり、こんなに大きくなった。 作物というものは、せわがだいじというものじゃ。しかしまあ、なんとおいし そうな麦になったことよ。わしのだいこうぶつじゃ。ちょうど、食べごろだ。
うう、がまんできん。いただきます。むしゃり、むしゃり。ウメェー、ウメェ ー。
ナレーター:あーあ、やぎさんまで、麦を食べてしまいましたよ。犬さんはどう しているでしょうね。
(左側の幕を開ける。犬の家のかんばん。麦のほが出ている。右側の幕を閉める。)
さて、さらに一月がすぎました。
犬:おら、種もまいたし、水もくれたし、草も取った。いよいよほが出て、麦が 実り始めたぞ。それまで、スーパーファミコンをして待っているとするか。ん、
こりゃ、おもしろい。やめられない、とまらない、スーパーファミコン。
ナレーター:それから、犬さんは、スーパーファミコンを一月もやり続けたんで すって。
(麦のほが落ちる。→ほのついてない麦ととりかえる。)
犬:はらへったな。そろそろ、麦でパンでもつくって食べるか。(麦の方を見て)
あややー。わ、わ、わんたることだ。む、麦がついていないじゃないか。(麦 に近より)麦が、おっちゃった。いつのまに、おっちゃったんだ。うぇーん。
わわわーん。
ナレーター:いよいよ、みんなでパンを作って持ちよる日になりました。
(そこへ、みんなが集まってくる。右の幕を開ける。)
にわとり:ほら、これがぼくの作ったパン。(さし出す)そういえば、みんなは。
ねこ:まけば、麦ができると思ってたのに、しおれちゃったの。
やぎ:わしゃ、せっかく大きくなるまでせわをしたのに、がまんできなくて、… 食べちゃったんだ。メエー。
ぶた:おいら、種を食べちゃったからな。ぶー。
犬:おら、麦の種ができたのに、スーパーファミコンにむちゅうになっていたら、 いつのまにか麦がおっちゃったのさ。わわわーん。
にわとり:そうか、みんなパンを作ることができなかったのか。じゃあ、ぼくの パンをいっしょに食べようよ。
ねこ:そんな、他のひとが作ったパンなんて、食べられないわ。
ぶた:はらへったな。食べたいけど、…
やぎ:わしゃ、えんりょする。
犬:自分が作らなかったのを食べるほど、おら、ずうずうしくはないわ。
(光があたりをてらし、動物たちはびっくりして、走り回る。そこへ、イエス様 が登場する。)
イエス様:こわがることはありません。わたしは、イエスキリストです。みんな、にわとりの作ったパンを食べるのは、ずうずうしい、むしの良いことだと思っているようだけど、じつは、私が与える救いも同じなのですよ。神は、受ける価値のない者に、救いをただで下さいました。それは、にわとりが汗を流して苦労して、ようやくパンを作ったように、わたしが血を流してこの救いを与えるからです。ですから、私の愛をただで感謝して受けることを神は望んでおられるのですから、にわとりの愛もすなおにお受けしなさい。
ぶた:それではえんりょなく、いただきまーす。ぶー。
ねこ:にわとりさん、ごめんね。好意をすなおに受けなくて。感謝して、いただ くわ。
やぎ、犬:いただきまーす。ぱくぱく、むしゃむしゃ。
犬:なあ、みんな。こうやって、にわとりさんに、おいしいパンをごちそうにな っているが、来年こそは、にわとりさんに一番おいしいパンを食べてもらうた
めに、もう一度麦を育てようじゃないか。
やぎ:そうじゃ、そうじゃ。神様から、すばらしい救いをいただいたこの感謝を
わしらは、忘れたことはない。このにわとりさんの愛を忘れたりはしないぞ。
ぶた:今度は、種を食べないようにするからね、ブー。
ねこ:わたしもお昼寝ばかりしないで、にわとりさんのために、がんばるわ。
にわとり:みんなに、そうまで言ってもらうと、うれしいよ。これも、すべては、
神様のおかげだね。